ステップ・バイ・ステップ

Step By Step

20代会社員。人生を一歩ずつ、歩いています。

秋の夜長に「君の膵臓を食べたい」

はてなブログ今週のお題「読書の秋」ということで、最近読んだ本について。7月に実写映画化もされた「君の膵臓を食べたい/住野よる」(双葉社)の感想です。ネタバレを含むので注意してください。



君の膵臓を食べたい。満開の桜と登場人物であろう少年少女が描かれた表紙に載せられたそのタイトルに、惹きつけられた。出会いは書店のポスターで、どうやら新人作家のデビュー作であるらしい。それにしては何というか、中身が想像出来ないタイトルだという印象を受けるが、そう感じるのはたぶん僕だけではないと思う。後で知ったことだが、有名な小説投稿サイトで投稿されていた作品を単行本化したものだったようである。


冒頭に綴られた独白から、決してハッピーエンドではないことは窺い知れる。それでも単なるお涙頂戴の話に終始するわけではない。それは著者の表現力に依るところが大きいのだろう。
共病文庫。主人公である「僕」とクラスの人気者「山内咲良」が偶然知り合うきっかけになった、咲良の日記である。咲良は膵臓の病気で余命一年と宣告されている。一方で「僕」は誰かとコミュニケーションするのを避けるような、いわばひねくれ者でもある。一見すると接点のなさそうな二人だが、膵臓の病気という咲良の秘密を共有したことから、物語は動き始める。人と関わり合うことを諦めてきた「僕」だが、咲良の影響で少しずつ自分の世界を広げようとする様子には、学生時代などとうの昔の思い出になってしまった僕からすると微笑ましく思えてしまった。病人とは思わせない咲良の溌剌さに翻弄される様には、思わず頑張れと感じてしまう。


ユニークなのは「僕」の表現方法だろう。これは書籍ならではと言える。その時々の二人の関係性によって、異なる言葉で表現される「僕」の呼び方は、「僕」と咲良の心情を理解する手助けにもなっている。ぜひ注目してほしい。


物語に引き込まれてしまった本を読み進めるのは楽しい。それでもページを繰っていくうちに物語は否が応でも進展していき、残りのページは少なくなる。まるで咲良の命の期限を示しているようだ。「僕」と咲良の衝突、そして対話。なんど読んでも後半の展開はやはり辛いものが込み上げてくる。まだ高校生の彼らに取っては冒険ともいえるような二人きりの旅行や、宿泊したホテルで行った「真実と挑戦」ゲームでの咲良の振る舞いには年相応の女の子であることがよくわかる。年相応の女の子であるからこその、溌剌ぶりの裏側が垣間見える度に、不器用にも手を差し伸べようとする「僕」をそっと応援したくなる。そうして、穏やかな日常を共有する「僕」と「咲良」の関係は、残酷とも言える唐突な幕切れを迎えることになる。


君の膵臓を食べたい。300ページに満たない本作で、形を変えて何度も登場するこのフレーズは、決して直接的ではない。それでも二人の間だからこそ通じる背景があり、それはたとえ期間が短くても、彼らが交わした言葉によって構築された信頼関係の証明でもある。「僕」と彼女の移ろいゆく関係性を表すように、含まれる意味が変化していくこの言葉は、読了後も脳裏から離れることなく、思わず自問してしまう。果たして自分は大切な誰かに、まっすぐに気持ちを伝えられているだろうかと。


僕はこの本を本棚の一番上の棚に置いてから、スマートフォンを手にとった。


まとめ

たまにはお題に沿って書いてみるかということで読書感想文でした。しっちゃかめっちゃかなのでコンクールに出したら完全に弾かれますね〜。まあ、大人は時々ポエム書きたくなるので。


原作の小説のほか、漫画版・実写映画版もありますので、よかったら読んでみてください。現役高校生はどんな感想になるんだろうな?
2018年にはアニメ映画化も予定されているそうです。


漫画版もあります(上・下巻)。


小栗旬さん出演の映画版です。原作の展開に加えて、12年後の物語も綴られます。

来年のアニメ映画化も楽しみです。

劇場アニメ「君の膵臓をたべたい」予告編(2018年公開)


ではでは。



関連記事です。漫画を読むのも結構好きです。